以前、在籍していたシニア(80代)の生徒さんのお話です(お一人暮らしの方)
「年齢を重ねる事」について深く考えるきっかけとなった方。
その方との思い出深いエピソードが、本日の記事です。
目次
「どうしてもピアノが習いたい」
当教室へは電車で2駅かかり、駅から約10分歩くので、通いが大変じゃないですか?と体験レッスンでお尋ねしました。
「どうしてもピアノが習いたい」と強い思いをお持ちで、レッスンをお引き受けする事に。
当時は夏真っ盛り。
コロの付いたバッグを引きながら教室へお越しで、教室につくと、うちわをお貸しして、まずは休憩。
その間にいろいろとお話しました。
人生の先輩に失礼かもしれませんが、とても可愛らしい人でした。
お話は面白いし、おしゃれで、身の回りの事もお一人でされていて、気丈な方でもありました。
2階にある電子ピアノ
お話をする中で、寝室や電子ピアノが2階にある事を知りました。
2階の部屋にはエアコンが無い事も聞いて、熱中症は大丈夫?ちょっと心配に。
かなり暑い日が続いていたので、エアコン無しの2階って、相当暑いし、マズイんじゃないかな~
おまけに、冬は湯たんぽを持ちながら、2回に上がるというお話も聞いて、余計に心配に。
1階にあれば心配ないけれど
「1階に、寝室や電子ピアノがあれば心配はないんですけどね」と生徒さんに伝えると、「一人暮らしで難しい」というお答えでした。
そうですよね~電子ピアノは重たいですしね。身内の方もご病気で大変との事でした。
ケアマネージャーが母と同じ方
しばらくしてから、ケアマネージャーが私の母と同じ方とわかり、思い切ってケアマネの方へ電話をかけてみました。
- 寝室、電子ピアノが2階にある事
- 2階はエアコンが無い事、冬は湯たんぽを2階へ運んでいる事
話を伝えると「1階で生活できるよう、相談します」と返事をいただけ、心からホッとしました。
話が進み1階へ移動
その後、話が進み、寝室や電子ピアノが1階へ移動した事を生徒さんから聞きました。
1階の寝室は、リモコンで背が動く介護用ベッドに変わり、楽になったとおっしゃっていましたね。
起きると目の前に電子ピアノがあり、練習時間が増えたと喜んでいらっしゃいました。
ピアノは両手奏
その努力が実って、数曲を両手で弾けるようになり、生徒さんも私も大喜び。
指が固く痛みも少しあり、両手は厳しいかなと思っていたので余計に嬉しかったですね。
ピアノ講師が3番目くらいの話相手
当時、生徒さんの話相手は、身内の方、ケアマネやヘルパーさん、私、そしてご近所や友人の方、と自身がおっしゃっていました。
私も3番目くらいの相手になっていたのです。
お元気そうに見えても、いくつかの病院に通われている事や、一人暮らしの大変さも知りました。
毎日会うでもなく、身内でもない私と話しやすかったのかなと思います。
身内、知人の方だと、かえって話づらいこともありますよね。
ケアマネに相談するのに迷う
生徒さんのお話で知った事(2階にある寝室、電子ピアノ)を、ケアマネに相談するのに迷いました。
心を許して話してくれたのに、という気持ちもあったので。
でも、黙っていたら危険な事になるかもしれない…その思いが強かったです。
近い将来、私自身にも起こり得る事
その後、遠くに引っ越しされて退会となりました。
寂しかったですね。でも仕方ありません。
年齢を重ねて、一人で暮らす、体力的に辛くても自分の事を自分でする。
元生徒さんの生活は、近い将来、私自身にも起こり得る事です。
今まで考えてみた事もなかった…今後の生活について考えるきっかけをくれた方。
弱気になった時や、何かの折に思い出し、私を元気にしてくれる方でもあります。